15年前のある日、米国の女性飛行家アン・モロウ・リンドバーグの『海からの贈り物』(1955年)という本に出会いました。離島の別荘に滞在し、女性の人生と「社会と個人」について詩的な言葉で思いを綴る名著です。
本の最大の魅力は著者の孤独についての省察です。社会と個人の釣り合う生き方のために「自分の内側に心を向ける時間を持つこと」を勧めています。当時の米国女性が抱えていた「外(社会)への対応に忙しすぎる」生活の苦悩に対する救済となる彼女の言葉は、高度に発達した情報伝達や交流が迫る現代社会にも通じるものです。
この本をモチーフに海辺の別荘のような宿をつくりたい。そう決心し、明治21年の創業時に建てられた当宿の前身ホテル『金波楼』の海浜保養舞台を再現しつつ、石や木やコンクリートによるコンテンポラリーナチュラルな質感の「社会から離れる宿」を設えました。
当宿は、明治から続く海浜保養文化に、社会から離れて過ごす個人の豊かな「今と、ここ」の記憶を重ねてゆく、現代の保養宿です。
2022年5月 石井盛志(里海邸 代表)
本の最大の魅力は著者の孤独についての省察です。社会と個人の釣り合う生き方のために「自分の内側に心を向ける時間を持つこと」を勧めています。当時の米国女性が抱えていた「外(社会)への対応に忙しすぎる」生活の苦悩に対する救済となる彼女の言葉は、高度に発達した情報伝達や交流が迫る現代社会にも通じるものです。
この本をモチーフに海辺の別荘のような宿をつくりたい。そう決心し、明治21年の創業時に建てられた当宿の前身ホテル『金波楼』の海浜保養舞台を再現しつつ、石や木やコンクリートによるコンテンポラリーナチュラルな質感の「社会から離れる宿」を設えました。
当宿は、明治から続く海浜保養文化に、社会から離れて過ごす個人の豊かな「今と、ここ」の記憶を重ねてゆく、現代の保養宿です。
2022年5月 石井盛志(里海邸 代表)